diary

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キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎

キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎


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ハードカバーの時からずっと気になっていた本。

タイトルからして面白そうだし、二人で描くってどんな感じなんだろうってわくわく。

文庫本になっているのを発見したので、手に取りました♪

 

キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎 あらすじ

かっこつけてしまったがために、借金を抱えることになった相葉時之。

さらに、謎の「水」に関する取引の現場に居合わせたことで、怪しい男に狙われることとなる。

 

息子の通院による治療費が嵩み、借金の返済に追われる井ノ原悠。

少しでも多くの金を入手するため、ある副業をしていた。

 

相葉と井ノ原はかつて同じ小学校、野球チームで一緒に過ごした同級生だった。

同時に、「鳴神戦隊サンダーボルト」の大ファンでもあった。

 

父の死の真相を追う、桃沢瞳。

 

殺すことを厭わない銀髪の外国人、メンター。

 

致死率の高い感染症である「村上病」と国民に課せられた予防接種。

東京大空襲の最中、東北の山中に墜落したB29。

そして、五色沼の水。

 

全てがつながり、明らかになる真実とは、、?

 

キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎 感想

相葉と、相葉に振り回される井ノ原。

全ては、相葉からの「金ほしくねえか?」の誘いに乗ってしまったから。

でも、二人の相性は、抜群だった。

 

子供の頃濃い時間を一緒に過ごした相棒は、時間を経て大人になっても良い相棒だった。

直感に従って行動する相葉と、落ち着いて対処する井ノ原。

ちょっと羨ましくなるくらい、意思の疎通ができていて。

 

ピンチであればあるほど、二人の連携が際立つ。

 

二人の冒険(?)の他にも見所がいっぱいあって。

 

個人的にはメンターの圧倒的な強さに絶望しました。

もうこんなの、倒すの無理だよ。絶対無理だよ。

だって強すぎるもん。殺すのにも躊躇なさすぎるもん。

どうすんのよ相葉。こんな怪物に目つけられちゃって。

 

でも、絶対に二人でなんとかしてくれると信じて読み進めました。笑

 

テンポよくどんどん進むのに、謎がが次第に深まって。

何がどう関連しているのか、この先にどんな結末が待っているのか、想像しながら読み進めるのがすごく楽しかったです。

 

キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎 印象的な場面

夜の山の中で、二人が必死に目的地を目指して歩いている時の会話。

「おい、井ノ原、俺の判断は間違ってるってのか?」

「そんなことは言ってないだろ」

「どうして、俺はいつも、間違ってるほうを選んじまうんだよ」

「なんだって?」

「俺だってな、間違えたくて間違えてるわけじゃねえんだ」

「相葉、落ち着け。いったい何の話なんだ」

「気がついたら、こんなありさまになっちまってんだよ。俺が何したってんだ」

 

今だって間違っているかもしれない。

不安や焦りから、自分の人生間違ってばかりだという思いが抑えきれずに爆発してしまう。

そりゃ、こんな事態に巻き込まれて平静じゃいられないよね、と思う。

 

相葉に応じる井ノ原の言葉も合わせて、この場面は印象に残ってる。

 

「落ち着け、相葉。いいか、誰だって完璧な判断なんてできるわけないんだ」井ノ原悠は自分に言い聞かせているようなものだった。気がついたら我が人生、こんなありさまになっていた、とは井ノ原悠の嘆きとも重なる。

 

大人になって、かつての自分が今の自分を見たらがっかりするに違いないと思うような

現状になっていて。

自分や周りのために、最善の選択をしてきたはずなのに、どこで間違ってしまったんだろう。何がいけなかったんだろう。気づいたらこんなありさまだ。という嘆き。

 

それでも、やっぱり、最善を尽くす。

今の自分たちにできることを。

 

このやりとりを経てもう一度前に進んいく二人が頼もしくて、嬉しかったなあ。

 

キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎 まとめ

あちこちに散らばった端切れが新たな謎を呼び、その謎を追って新たな真実が明らかになり、全てのピースが揃った時に、真実が明らかになる。

その過程と、登場人物たちのやりとりがとっても面白かったです!

 

最後に収録されていた阿部さんと伊坂さんの対談も、読めてよかった♪

 

阿部さん、伊坂さん、ありがとうございました!

 

キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎